JARL新潟県支部地区研修会(主管 糸魚川クラブ)

 「真空管アンプの製作、真空管オーディオの概要」


2022年11月27日(日) 9:30 〜 16:00、糸魚川市ビーチホールまがたまで製作講習会を行いました。

参加者 JA0CAB(講師)、JA0EKS、JH0WLT、JH0VYM、JH0GLG、JH0FZG、JE0JJR、JE0KBP、JH0BQV

       

真空管を使った製作は何十年ぶりでした。 

なるべく回路や部品の配置がわかりやすいように板の上で組みました。

     

本格的なケースに入れた講師藤田OMの試作品(良い音で鳴っていました)

回路図 (電源部省略)


【講師の解説】

◇手のひらに乗る超小型、真空管アンプを自作しましたのでレポートします。

◇まず製作動機ですが、最近は視力が衰え(超老眼?)で眼鏡をかけてさらに虫眼鏡が必要になってしまいました。そんな訳で、チップ部品の多い無線関連の製作は残念ながら上手くいきません。このアンプは小型ながら内部の部品は真空管用なのでチップ部品ではありません。ピンセットでつまみ損ねて飛ばしてしまい見えなくなるような小さな部品はありません。

◇いろんな真空管が保存してあるのでとりあえず簡単な、MT管の3極複合管(12BH7A)という昔のブラウン管テレビの出力管を使いました。オーディオの分野ではよく使われている球です。

◇真空管はヒーター用の「A」電源、プレート用に「B」電源、カソードに「C」電源と3種類で厄介なものです。しかも「C」電源は「−」が必要です。つまりバイアスと言われています。「−」電源は面倒なので、カソードに抵抗を接続し、その先をGNDとして扱います。入力される信号が無音のとき、0Vなので、グリッドの電位はグランドと同じ0Vになります。一方、カソードの電位は、(プレート電流)×(カソード抵抗)だけグランドより高くなるため、この高くなったカソードの電位を0Vとして見ると、グリッドの電位は相対的にマイナスの電位になるようにするのがセルフバイアスになります。つまり、「電圧」というのは、「どこに対して」という概念があって初めて成り立っているのはご承知のことと思います。

◇このように、抵抗コンデンサーなどは割と大きいのではんだ付けが楽にできます。ケースがちょっと小さかったのでかなり窮屈になってしまいました。手のひらに乗る真空管ステレオアンプの試作品です。

◇前述のように真空管となるとプレートにかける高圧電源が必要になります。電源トランス使ったのではこんなに小型に作れません。12Vからスイッチングして高圧を得る中華製の基板を使いました。スイッチングノイズが心配でしたが幸い出ていません。したがって電源はどこにでもある定電圧電源12Vの3Aもあれば十分です。
放熱板が付いていて雷マークのある部分が高圧基板です。便利になったものですね。1000円位で入手できます。カップリングコンデンサー4個は音質上重要なので良いものを使いました。

◇出力管片チャンネル、プレートに240Vかけて、約11〜13mAですから、240×0.011=2.64Wです。前段は2mA以下なので無視。半分とみてもIWは十分出ているでしょう。
 真空管は回路が簡単でいいですねー。部品も大きいし、昔を思い出しながら感慨に浸っています。 
 いずれ、このような方法で製作講習会をやりたいと思っています。
 私のところに真空管や抵抗・コンデンサー部品が結構ストックがありますので無償で提供します。
 高圧電源基板や出力トランス、ケースの購入に5〜6千円もあれば可能かと思います。
 CDプレーヤーの出力は結構レベルがあるのでプリアンプなしでもOKです。インピーダンス変換は若干問題がありそうですが…。

◇私の場合は、能率の良いアルテックの38pウ-ファー大型スピーカー「A7」がありますので、近いうちにそれにつないで調整しようと思います。一般的には「ブックシェルフ型」の小型スピーカーでも十分な音量が出ますので何でも利用できます。もし無ければヤフオクで2〜3千円でゲットできます。
 今どき半世紀前のテレビ球を使った真空管のアンプ自作とはタイムスリップのような感じですが、手のひらに乗る可愛い真空管アンプが出来上がり感動しています。自作は面白いですねー。